裏のまた裏話

さらば新星 藤村大介選手

今日の午前はバイト、午後はCSを見る。そんな1日でした。

やっぱりCSに巨人が出てないのは寂しい。ファイナルステージになったらひょっこり出てきて広島と戦ってたりしないかな。無理だな。

 

CSに出ない巨人の話題は選手の入退団の話。とはいえこの時期に入ってくる選手はいないから、退団する選手の話になります。

昨日は村田選手がまさかの戦力外でしたが、今日は一足早く戦力外通告を受けていた藤村選手が引退を表明。

 

今回はそんな藤村選手に対して思うことを書いてみようと思います。

 

 

 

 

 

6年前、巨人に新星が現れました。

4年目で一軍デビューを果たした藤村選手がいきなり盗塁王を獲得。

 

翌年も期待されて出番を与えられます。盗塁数こそ減りましたが打撃成績は向上。二塁の定位置はすぐ目の前にありました。

 

しかし、藤村選手がそれを掴むことはできませんでした。

 

 

新星というのはそれまで暗かった星が数日間で数万倍もの明るさになる現象を示す言葉でもあるらしいですね。

急激に明るくなるから新しく星が生まれたかのように見えますが、本当に新しく生まれるわけではありません。そして緩やかに暗くなり、元に戻るそうです。

 

藤村選手の大活躍はまさにその「新星」でした。プロ野球界常で常に光り続ける新たな「スター」が生まれたわけではなかったのです。

 

非力さが否めず次第に出番が減らしていく藤村選手。

片岡、井端、クルーズと次々に実績ある二塁手候補が追い打ちをかけるようにやってきます。

 

藤村選手の一番の――というか、唯一になってしまった武器は足の速さ。でも、それも藤村選手を助けてくれません。二軍でも盗塁を決められなくなりました。

 

そしてついに受けた戦力外通告。盗みの技術を忘れた盗塁王は、塁と一緒に盗んでいった多くの期待の行方もわからないことでしょう。

 

僕はそこまで藤村選手に思い入れはありません。期待していた時期もありましたが、彼はチャンスを掴むことができませんでした。期待に応えられない選手にスターの資質はないのです。戦力外通告された時も当然だと思いました。

 

けれども、もう1つ思うことがあるとすれば、少しだけ性格に恵まれていたらとは考えなくもありません。

 

二軍でも盗塁できなくなった藤村選手は、自分は盗塁王なのだから二軍で失敗するわけにはいかないと感じて逆に走れなくなったと言います。

チャンスの中で、あるいは強大なライバルを前にして、何が何でもレギュラーを獲ってやろうという執念を出し切れず、レギュラーどころか一軍入りもできなくなった。そこまで藤村選手に詳しいわけじゃないですが、彼には負けん気に欠けた平和主義で、良く言えば優しい性格と、それでいて自分を曲げられない、ひっそりとしているのに固く強いプライドがあったように思います。

ライバルに抜かれ、新人に背番号を奪われ、チーム内の底辺まで落ちてしまった。悔しいとは思ったでしょうけど、それを上手く闘志に変換する性格の強さが彼には欠けていました。そのくせ「盗塁王藤村大介」を捨てることはできませんでした。

 

 

まだ若いしプレーしようと思えば続けられたのでしょうけど、10年も自分の性格に向かない世界で戦い続けた藤村選手が引退を決意したのもまた当然のことなのかなと思います。

 

6年前に将来のドラマを期待された男はドラマに欠けた引退をして、何らかの形で球団に残ります。

これからかつてと同じくらい輝くことはないのだろうけれども、藤村選手の人生は続いていきます。

 

ここ数年彼の応援なんかしていなかったけど、いつかまたその顔を見て輝いていた時代だけ思い出せたらなと思うのです。